効果音が聞こえなくて大慌て

音を取り扱うメディアなら大抵は効果音を取り入れているので、ほとんどの人にとっては聞こえたとしても過剰に反応することはないと思います。一方の私には、効果音フリーにまつわる苦い思い出があります。テレビ番組で何かしらの効果音が聞こえてこようものなら、過去の一場面を鮮明に思い出すことができます。

男子校に通っていた私は、学園祭の劇で効果音を出す担当者に選ばれました。生まれつき両肩が脱臼しやすい体質なので、ハードに動くことが多い劇に出るのは荷が重すぎたからです。劇の内容は、森を散歩している女の子の前に突如熊が出現して派手なバトルが繰り広げられるというものでした。男子校ならではのアイデアですが、ストーリーの構成や配役を考える人たちは真剣に取り組んでいました。

ボタン操作するだけの簡単な作業なので、学園祭当日までに高品質な効果音を集めようと私は思いました。そこで白羽の矢を立てたのは、ボイスパーカッションを得意とする友人です。同じ男子校に通っていたので、すぐに依頼することができました。他のクラスの生徒であるにもかかわらず快く協力してくれた友人には、女の子が劇で繰り出す魔法にぴったりの効果音を提供してくれるようにとお願いしました。すると、高音でいかにも魔法っぽい効果音が手に入ったのです。クラスメイトに聞いてもらうと大好評だったので、これで私もみんなに協力できたと思い安心しました。

学園祭当日、私のクラスの劇が始まり途中までは順調に進みました。効果音を出す機械も調子が良いなどと感じていた矢先、調節していないにもかかわらず少しずつ音が小さくなっていくことに気が付きます。嫌な予感がしましたが、劇を続行させるために私は効果音を出し続けました。いよいよ女の子が魔法を放つときが訪れ、私がタイミングを合わせて機械のボタンを押したときのことです。効果音が流れず、舞台の上では女装して棒を振り回している同級生が怪訝そうな顔を浮かべていました。劇が終わってから私は責められませんでしたが、後味の悪い学園祭でした。

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